渡辺真木彦 WATANABE Makihiko

佐渡
 130×194cm 和紙 岩絵具 膠

 この作品は題名通り、佐渡を描いた作品である。昨年の夏、よく晴れた日に車を運転しながら横目に見た風景。木と竹で組まれた物干しの様なものを通して覗く海。逆光になり、黒く塗りつぶされた木と竹と強い日射しを反射し、また内包して青く輝く海とのコントラスト。海に焦点を合わせれば、木と竹が黒くつぶれ、波や雲の細かな表情が見て取れる。木と竹に焦点を合わせれば、海と空がひかりの中に溶けて、木と竹の微妙な色合いが見えてくる。どちらか一方に基準を置いて両方を観察する事は不可能である。絶え間ない視点の移動と反復。それを表出、表現する行為により僕自身に視点の移動、反復を促すのである。と同時に僕はそれを自分自身の表現として獲得するのである。